時刻十七時五十九分。ギリギリの時間に、一人の人物がハウス内に入場した。
 帽子を目深に被り、顔は判然としない。帽子の下から腰まで垂れている髪は、黒の紐を持ってうなじと背の中程で二回結ばれている。身長は男性なら平均、女性なら長身。体躯は同年代の男性の細身よりも明らかに細く、描くラインからも女性である事が窺える。女性としても、同身長の平均と比べれば恐らくは細身の部類に入るだろう。服の上からでは判断できない質に誤解無きよう加えると、華奢な訳では無い。女性特有の皮下脂肪も残っているが、彼女の肢体は引き締まっていると言っていい。
 そんな彼女が混雑しているハウス内で、ある人物の姿を探す。帽子まで被って何をやっているんだろうと思いながら。尋ね人は直ぐに見つかった。捜す為に僅かに上げた帽子の鍔から覗く、少しカーブが上がった黒艶の瞳が微かに緩む。
『皆ー! 今日は来てくれてありがとー! メインボーカルのユズでーす!』
『ギターのリョウです。これだけ集まってくれた事に感謝します。それで今日は発表があります。続きはセイが』
『後を受けて、ドラムのセイ。さて、発表だが、そこのチビッコが、芸術系高校の音楽科に推薦が決まった!』
『で、その自主祝いも兼ねての二時間独占ライブってわけ。皆も祝儀代わりにノレる様に頑張ってね。ピアノ&パートツインボーカルのアンズでしたー』
 ユズの入学決定に祝福の歓声。メンバーより更に前に出て歓呼に応えるユズ。歓声の中で一曲目が始まる。
 それらを聴く事も無く、彼女は開演前にハウスを出た。
 ―――本当、何やってるんだろう



「「「「「「「カンパーイ!」」」」」」」
 カチンと、ジュースやアルコール飲料が注がれたグラスが打ち鳴らされる。盛況の内にライブは幕を閉じ、今は歓楽街のパーティーゲーム目的の部屋を借り切っての打ち上げ兼反省会だ。
「いやー! 楽しんだ後のジュースはまた格別! 今日はお祝い兼ねてるから一層だよー。杏奈達もこんな気分だったの?」
「まーね。親戚連中に祝われるよりよっぽど嬉しい」
 サンドイッチを食べながらの杏奈の相槌にそっかそっかと頷く柚夏。彼女は着替え、移動する時からずっとご機嫌で、パーティールームに入ってライブの感想が解禁して初っ端、この調子だ。
「頑張ったね。いつも以上にいい歌だったよ。ノリにノレてたってやつだった?」
「うん。いつも以上に皆楽しんでたからあたしも楽しかったー!」
 厚志に褒められて、身体を摺り寄せる。グラス内のオレンジジュースが揺れる。そんな柚夏をまた、微笑ましい気分で見ながら、奈央は林檎ジュースを音を立てずに三口飲む。
「歌だけじゃなくて、ステップもキレてたんじゃないの? 杏奈さん達の演奏も、今日始めて聴いたけど、凄く良かった。何より、今日来れて嬉しいと思えたもの」
 奈央は初聴きで、且つ忌憚の無い意見として、純粋に素晴らしい内容だったと思った。
「ま、流石に二時間も演れば最後はバテバテで、細かいミスもあったがな」
 樹が奈央の感想に注釈を添える。尤も、奈央の場合ノーミスの演奏を聴いたことが無いので、比較として分からない。厚志が葡萄ジュースをクピリといった。
「でも、細かいミスを帳消しにする、心底好きだって感情が伝わってきたでしょう。二時間も演れば、幾つか失敗して当たり前。問題はそのミスも含めて、楽しめるかって話です」
「蛇がいい事言った!」
 アルコール飲料を頼んだ清道が、厚志を抱え込む様に肩に手を回す。
「そう言ってくれるのは嬉しいですけど、それに甘えず、もっと頑張らないといけませんね」
 ピザを一切れ食べていた涼が、樹と厚志の意見を生真面目に総括した。
「っかし、このオレンジサワー薄いな~。全然アルコールっぽくねえんだけど」
 セイは文句を言いつつグラスに半分ほど残っていたオレンジサワーを一気に呷る。プハーッと、コマーシャルの芸能人に負けない良い飲みっぷりだ。
「悪酔いしないでね。折角楽しんでるんだから」
「分かってるって、奈央ちゃん。でもマジ薄いんだよ。おいチビッコ、グラス間違えてねえか?」
 一通り機嫌よく騒いだからか静かになっている柚夏は、飲み物をチビチビと飲む所作を止めて視線を上げる。
「ふぇ? らに~…?」
 呂律の回らない舌。疲労からだけではないだろう、とろんとした瞳。可愛い顔を形作る頬はこの時期に開く桜の色―――にしては、元気に育った色だった。
「う~…あつい…」
 パーカーのボタンに手を掛け、着るから羽織るに表現が変わる。下は舞台衣装でもあるチュートップで、露出した白い肌は頬の薄色はっしょくに染まっていた。
「ちょっ、ユズ本当に間違えたの!?」
 一番に慌てたのは、やはり厚志だった。即座に柚夏からグラスを取り上げる。
「あぅ~…それユズのー。あーくん、取り上げちゃやだ~」
「碑蔵さん、お願いっ」
「うん」
 厚志はノロノロと手を伸ばしてくる柚夏から、隣の位置取りに座る奈央に渡す事で遠ざける。
「むぅ~奈央といちゃいちゃすんなぁ~」
「してないしてない」
 倒れ掛かる柚夏を受け止めた厚志に代わり、奈央が反論する。柚夏は倒れ掛かるから、じゃれ付く様に厚志にくっ付く。
「あたしあーくんのこと好きだもん。ライブの日ぐらいばか律のこと忘れてほしいもん」
 柚夏の告白に、「おぉ」だの、「やっぱそうだったんだ」だの、「リツって誰だ」だの口々に感嘆の言葉が出る。奈央も柚夏が厚志を好きなのはライブ前に既に気付いていたが、こうまで堂々と告白する姿に、感想を漏らす事はしなかった。
「ユズ、人物混濁してるって。ほら、水飲んで」
 厚志は頭を胴に擦り付けていた柚夏を横抱きにするようにして、顔を外に向けさせる。
「ん…んぅ…」
 口元まで持って行かれたグラスに、柚夏は口を付けるでもなくピチャピチャと水だけを子犬のように舐め取る。零さない様に、傾きを手早く調節した厚志は流石と言えよう。
「ん…んむ…ふぁ」
 常は元気な、年端も行かない美少女が、乱れた服装で、肉付きは薄いが決して不健康では無い柔肌を上気させ、元気な面影を僅かに残す蕩けた瞳で喘ぎ交じりに水を舐める姿。
「―――これは、エロいな…」
「介抱を不純な眼で見る、君の存在がね」
「…すまん、冗談です」
 注がれた水の半分も飲む頃、柚夏は微睡んでいる様子だった。
「眠い…あーくん、頭撫でて…」
「うん」
 厚志が癖毛の髪が引っ掛からない様、優しく丁寧に撫でる。柚夏が、本当に気持ち良さそうに眼を細め、甘い吐息は落ち着いた寝息に代わった。
 全員がほっと息を吐く。あれなら中毒でなく、ただ眠っただけだろう。
 膝枕状態で眠る柚夏と、その膝の持ち主である厚志を見比べ、樹が代表して質問した。
「パーティー、どうする?」
「続けてていいよ。ユズの酔いが、すぐ醒めるとは思えないし」
「じゃあ、場所移動する? ここに柚夏寝かせて」
 ソファが三つもあるので奈央の提案は当然だった。訊かれた厚志は、柚夏のパーカーを楽にさせる為ボタンこそ止めないが、体裁を整えてやっている。
「僕はこのままでいいよ。寝る前にお願いされちゃったからね。食事はこのままでも食べられるし。ただ、ゲームは見てて楽しいものか、テレビゲームにしてくれるとありがたいかな」
「んにゅぅ…」
 服を整えられるのむず痒いのか、柚夏が吐息を漏らす。
「ま、先輩がいいならいいけどね」
 奈央は上げ掛けた腰を下ろした。厚志に倣い、柚夏の額に手を伸ばす。
「んに…」
 眠るといっても熟睡とは違うらしく、反応して顔を寄せる。その姿に、奈央は苦笑気味に息を吐いた。

「う~…頭痛い……」
 店を出る頃には柚夏は眠りから覚めていた。アルコールも大分抜けたようだが、頭痛は残っているらしい。それでも現在は、夜の顔を見せ始めた歓楽街を、右手で厚志の手を握り、ボストンバッグを肩に掛けた左手で、薄い桜色に戻った額を押さえ歩いている。酔っている間の事もある程度覚えているらしく、厚志の移動を制限した事を謝っていた。
 奈央は柚夏とは反対側の厚志のサイドポジションを歩いていた。柚夏の頼んだ余った料理はタッパーに詰め、清道が持っている。
 駐車場まではHSの皆も当然一緒だ。今日の場合、厚志が奈央を送ることになっているので、樹は柚夏の送り届ける命を受けている。奈央は自分と柚夏の送り手の交代を申し出ようとも思っていたが、するまでもなく柚夏が譲ってくれた。
『だってその方がいいでしょ?』とは柚夏の弁だ。そういった観念からすれば、加賀美兄妹の車に同乗する方が余程正しいのだが、奈央は納得してしまった。姉がいれば一からかいあるところだ。
 奈央はそんな考えを打ち消し、柚夏に比べ、手持ち無沙汰な左手で髪を掻いた。流水の様な髪は抵抗無く指を通した。
 程無くして駐車場に着いた。後は車を拾うだけ。狭い隙間を通る事もあるので、柚夏は手を離していた。
「こんなとこでVツインマグナが見えるとはの。ちょっと乗ってみたいわ」
 歓楽街駐車場ではやたら目立つ、黒の長ランを着た三人組の台詞が聞こえた。
「Vツインって、先輩のじゃないですか」
「多分。あの辺に止めたし、僕が止めた時は僕のしか無かったし」
 厚志は気にした風でもなく、歩を進める。柚夏が奈央の方にとてとてと動き、手を握った。それは只、厚志の代わりの支えだけではない。
「厚志…抑えてね…」
「何を?」
 厚志は心底分からないといいた表情で、柚夏に顔を向けた。
「えっと…うん…そうとも限らないよね。何でもない」
「そう。じゃあ手早く取ってくるから、碑蔵さん、ユズを頼むね」
 言い残し、厚志は改めて愛車の元に向かった。
 三人組に厚志が何か声を掛ける。振り返ったその髪形はみな個性的で、時代擦れしていた。スキンヘッドはまだしも、パンチパーマにリーゼント。格好と相俟って、今時三流ドラマでも登場しそうにない不良学生像に見える。奈央は彼らが不良かどうか知らないので、偏見はいけないと思考する。
「お~。このバイク兄ちゃんのかい。なあ、ちょっと乗せてくんねえかい?」
「そう、人呼んで壕尾(ほりお)の狂犬、犬山(いぬやま)強史郎(きょうしろう)とはこの俺様のことよ」
「てめっ、このっ! 狂犬の恐ろしさを教えてやろうか、コラッ!」
 離れたところで奈央たちに聞こえたのは、三人組の真ん中、彼等の内で最も大柄で、スキンヘッドの、恐らくはボスであろう男の声と、取り巻きのリーゼントの怒声だけだった。その字(あざな)を聞く限り、偏見は正しかったようだ。
 歩き出そうとする奈央だが、柚夏は動こうとはせず、ては繋ぐ程度ではない力が込められている。
「奈央、行っちゃダメ」
「でも、会話に参加した方がいいんじゃない? 数が多い方が説得しやすいでしょ」
「ダメだよ。もしあたし達に手出されたら―――」
「まあ無知はしょうがねえ。けどよ兄ちゃん、ちょっとぐらい乗せてくれたっていいじゃねえかよ。減るもんじゃねえだろ、これ」
 柚夏の台詞の半ば、強史郎とやらが右手を後ろ手に伸ばすような仕草をしたと思ったら。
「―――厚志、止まんなくなっちゃうから」
 厚志が右足踵でその首を蹴り飛ばしていた。

「すみません、そのバイク僕のなんで、退いてくれません」
 厚志は三人組に向かって、丁寧語を持ってして声を掛ける。
「お~。このバイクは兄ちゃんのかい。なあ、ちょっと乗せてくんねえかい?」
 振り向いた内真ん中、スキンヘッドで、ルーフのマスター以上の巨漢が、出し抜けに要求を一方的に突きつけてきた。
「駄目だ。人を待たせてるんだ」
 見たところ同年代、且つ、不躾な要求の人間相手に丁寧語ではマイナス要素が多いと察して、厚志は通常会話に切り替える。
 リーゼントが「あん?」と顔を突き出し、押し引きしている。メンチ切るというやつだ。
「んだよその態度? 狂犬の旦那の聞けねえってのか?」
「狂犬?」
 そんな仇名のとんと聞いた事はない。そんな厚志の事情を知らず、狂犬と呼ばれたスキンヘッドが胸を張り、名乗りを上げた。
「そう、人呼んで壕尾ほりおの狂犬、犬山いぬやま強史郎きょうしろうとはこの俺様のことよ」
 厚志が聞いた事が無いのは道理だった。流石に他県の通り名事情までは明るくない。壕尾があるのは隣県だが、ここまで轟いているわけでもない。
「狂犬、こいつビビッてますよ。誰に口を聞いたか漸く分かったみたいっすよ」
 パンチパーマが的外れの推測で得意になっている。ここでこいつに乗るのが世渡りとしては正しいのだろうと思いながらも、厚志はその認識を正してやる事にした。
「ああ、今初めて聞いた名前だからな。じゃあ、僕はもう帰るよ」
 パンチパーマとリーゼントが固まる。狂犬も、顔を歪めている。
「てめっ、このっ! 狂犬の恐ろしさを教えてやろうか、コラッ!」
 後少しでバイクに手を掛けられたのに、息巻くリーゼントに割り込まれる。
 今にも手を出さんばかりのリーゼントを「まあ待て」と狂犬が止めた。手下の言葉が理解出来るのならばこちらの言葉も理解してほしいものだ。せめて、向けられている不快から発せられた不穏な気には。
「まあ無知はしょうがねえ。けどよ兄ちゃん、ちょっとぐらい乗せてくれたっていいじゃねえかよ。減るもんじゃねえだろ、これ」
 コンコンと、狂犬がVツインマグナのタンクを叩く。
 再三の忠告を聞かずに取った行動。狂犬? 残念だがお前はそれにも劣る。狂犬なら狂っていながらも、危険を察知して逃げ出した筈だ。狂人と言った方が正しい。これなら気配には愚鈍だろう。仮に愚鈍な狂犬であっても、それが何だと言うのだ。狂った犬なら昔殺している。嫌な事を考えさせやがって。
 厚志は丸っきり自然な動作で、男の脚に下段蹴りを見舞う。蹴った足は戻さず、擦りつつ自分の身長ほどに振り切り、返す踵で狂犬の首を蹴り飛ばした。
 不安定な体勢、且つ、彼にとっては優男だと思っていた男が取った突然の行動。踏ん張りを利かせ、厚志の体勢を崩させる事も出来ず仰け反り、踏鞴を踏む。無論、踏ん張ったところで厚志は受身を取り、隙を作ることなど無かっただろうが。
「てってめっ!」
 我に返り、掴みかかろうとしてきたパンチパーマに、既に右足を地に着けていた厚志は右手をポケットに入れながら、左足で大きく空いた脇を正確に蹴り上げる。人体急所への攻撃、素人なら悲鳴を上げその場に葛折れるところだが、パンチパーマは残った二人を援護する為それでも取り付こうと前のめりに倒れてくる。パンチパーマの両手は外。何も握っていない。倒れる先は駐車場だけあってバイク。そのバイクには見覚えがあった。パールネブラーブラックのブルーバード400。来ていたのだろうか? 彼女も。厚志は冷静に考察し、左半身を掴ませてやる。
「くたばれやコラァッ!」
 全力で殴りに来るリーゼントの右腕を、厚志はポケットから抜いた右手に持った何かで叩いた。
「ぎゃひっ!」
 振られた拳はバネ仕掛けのように弾き飛ばされる。リーゼントは衝撃に耐えられず尻餅を着き、Ⅴツインマグナとも、ブルーバード400とも違う、誰かのバイクに凭れ掛かる。幸い、誰かのバイクは倒れなかった。
 厚志が持っている物の形状はテレビやエアコンのリモコン大の何かで、先が二本の角みたいになっている。スタンガンだ。相手を死に追い遣る目的の違法高アンペア品ではない。改造もしていない。する必要もない。文句無しの超高電圧品を選んでいる。FBIも使っているという触れ込みの特殊スタンガンでも良かったが、二秒以上の接触が推奨と言うのが気に入らないので前物にした。
 スタンガン電気は超高電圧であろうと、人体に全くと言って良いほど流れない。代わりに起こす全身の体感ショックは、ヘビー級ボクサーのハードパンチャーに殴られたに等しい。超高電圧品なら、それを更に上回る。まるで傷は無いが、彼の全身は今まで感じた事のない衝撃で制御不能になっている筈だ。
「き、貴様、汚いぞ、武器使うなんて」
「護身具だよ」
 言いつつ、悪態をつける狂犬とは違い唖然とし、掠れた息を吐いているパンチパーマの腹に、念の為、スタンガンを放電する。一般的な電圧のスタンガンならならば、血管の集中した部位で無ければ五秒ほど掛かるので、これだけ隙だらけだと首筋に当てるのがセオリーだが、超高電圧品で同じようにするととショック死する恐れがある。感電死では無いので悪しからず。繰り返すが人体に電気は流れない。
 パンチパーマの身体が跳ねて力が抜ける。押し当てての反応とはいえ気絶した確証はないが、狂犬が拳を振ろうとしているのでパンチパーマを返した。慌てて受け止める。会話は通じなかったが根はいい奴なのかもしれない。
「もういいから帰ろう。絡むには高く付く相手だって分かっただろ。騒ぎになる前に引き上げようよ」
 実際、少々野次馬も出来始めているのだ。全く、夜になるとそれだけ物見遊山者が増えて困る。最悪警察も来るだろう。
「ふざけるなよ。このまま終わったら狂犬の名折れだ。太郎、芳行を頼む」
 パンチパーマは気絶していたらしく、動ける程度にはショックから回復したリーゼントに渡す。
「分かったよ。でも、駐車場は離れよう。壊したりしたら迷惑になる」
「いいだろう」
 何処までもでかい態度で、狂犬は頷く。駐車場を出、大きめの歩道に出る。
「卑劣にも不意を衝き、卑怯にも武器を使いやがったが、全員仕留めなかったのは大きな間違いだったな。分かった以上、もう俺の敵では無い!」
 何故か自信満々であるが、優位どころか戦力は減っているし、厚志のスタンガンも無くなっていなければ、避ける方策があるわけでもない。やはり阿呆な様だ。
 この調子だと気絶させるまで突っかかってくるだろう。手早く失神させ、後片付けはリーゼントに少し無茶をしてもらうか。
 そう思い、スタンガンを持ったまま構え直した厚志。そこに、疾駆する慣れた気配が一つ。その気配は走る勢いそのままに狂犬の腹を殴り付け、下がった顔を蹴り上げた。
「糞犬が。キャンキャン喚いてるんじゃない」
「……」
 厚志は声には出さず、律する少女の名を心で呟いた。

 柚夏と奈央は場所を移動せず、成り行きを見ていた。
 奈央は厚志が口八丁で凌ぐと思っていた。話が通じなさそうだから、三対一で険悪に事が起こる前に割り込もうとした。柚夏に止められ実際事は起こってしまった。但し、厚志が先に手を出す始まりで。
「ああいうの嫌いだから」
 野次馬に聞き咎められても大丈夫なよう名前を省いて言った、柚夏の諦めた様な言葉。確かにあの手合いは奈央も嫌いだが、一対一ならまだしも三対一なら丸め込むのが普通だと思う。幸い、馬鹿みたいだし、厚志ならそれが充分出来た筈だ。つまりそれ程に嫌いと言うことなのだろう。
 そして予想外がもう一つ。厚志がたった一人で三人を圧倒した。あの三人組の強い弱いは兎も角、他県にまで来てあざな(誰も知らなかったが)を喚き散らすという事は、かなり喧嘩慣れしている筈だ。それを軽くあしらったのだ。駆け出そうとした脚は柚夏に止められなくとも止まってしまっただろう。
「凄……」
「あ、知らなかったんだ。凄く強いんだよ」
 柚夏の声には、信頼が溢れている。つまり喧嘩になる可能性があったにも拘らず離れていたのは、それを知っていたからだ。加え、前の会話から察するに、厚志の為でもあるらしい。
「怖い?」
 柚夏が奈央に問う。
「それは驚いたけど、怖いとはまた違うよ。念の為もうちょっと近付いとこ? やり過ぎそうになったら止められるようにさ」
「あはは。やっぱり招待(よ)ばれただけのことはあるや。うん、そうしよ。念の為」
 そう小声で話している間に、狂犬と厚志が奈所を移動する。
「卑劣にも不意を衝き、卑怯にも武器を使いやがったが、全員仕留めなかったのは大きな間違いだったな。分かった以上、もう俺の敵では無い!」
 ずれた能書きなのは野次馬全てにも分かる。単純な身体能力勝負ならば、或いは狂犬の方が勝つかもしれないが、厚志の技量と、護身具を合わせれば、無手では一瞬で決着が着いてしまう事ぐらい、悟れそうなものだというのに。実際、野次馬も興味を失って散り散りだ。警察に通報した物好きが居てなければ、警官も来ないだろう。
 決着の見えた勝負に、奈央の隣を誰かが走った。恐らくは長身、細身気味の女性だった。被っていた帽子が飛び、髪を一つに束ね、首と背中で広がらないように縛り付けている。
 そして女性は厚志と狂犬の間に割り込み、信じられない事に、腹を一撃殴りつけただけで膝を着かせ、下がった顔を、弓を引く様にテイクバックしていた右脚で蹴り上げ、狂犬を前のめりに地に伏せさせた。
「糞犬が。キャンキャン喚いてるんじゃない」
「しっぽあたま」と、柚夏が言った。

 赤色のシャツに褐色のコートを羽織った少女。狂犬を蹴り上げた高い身長に見合う長い脚は薄黄のパンツに覆われている。彼女の名前は、波瀬谷はぜたにりつだった。
 律は気まずそうな仕草で、大男を蹴り倒しあまつさえ失神させたとは思えない端正な顔を罰が悪そうにして振り返る。
「邪魔…だったか?」
 厚志も、律も不意を衝いてあっさり倒した形だが、一応狂犬は、そこらのチンピラよりは強かっただろう。一対一で相手が素手なら負けはしないだろうが、手傷は負ったかもしれない。
「いや、鈍そうだから助かった。中々気絶しそうにないもんね」
 それだけに、不意打ちでも感嘆すべき正確な攻撃なのだ。鳩尾に一撃。仮に血反吐を吐いても一切容赦無しの考えの下に。そして顎の先端を爪先で蹴り上げる。砕け、不幸にも舌を挟み、歯を全てぶち折っても知ったこっちゃないと。
 厚志は咎めない。咎める資格もない事だ。仮にそれで障害が残す怪我をさせても、それは彼女の自己責任なのだから。ただ、彼女に手を出させた言いようのない不快さはあった。
「ねえ」
 厚志がリーゼントに声を掛ける。彼は展開に付いていけず呆然としていた。まさかの乱入、まさかの決着。自失するのは無理無い事かもしれない。
「君は後片付けね。糞犬と糞引き摺って塒に帰れ。僕達に二度と喧嘩を売るな」
 出来る限り冷静に台詞を組み立て、声は感情をまるで抑えずに警告する。
 リーゼントにどれ程通じたか分からないが、彼は厚志の言葉に従い狂犬とパンチパーマを引き摺って、街から離れて行った。
「終わったね。あ、帽子落としましたよ」
 それが去り切らない内に、奈央が合流する。一緒に居た柚夏は、樹の車に乗り込んで帰っていた。
「と。ありがと」
 津は軽く頭を下げて帽子を受け取る。コートの内ポケットに、傷まない程度の浅さに仕舞う。
「全く。私が言うのもおかしいが、彼女連れであんな変なの相手にするな」
 奈央を見て、律が厚志を叱責する。
「友達だよ。喧嘩してたのは、ごめん」
 厚志は関係を訂正し、奈央と、謝る謂れはない律に向かっても謝罪した。
「さて、帰ろうか。通報されてたら面倒だし。警察は好きじゃない」
 何せ、雰囲気を険悪にしたのは三人組でも先に手を出したのは厚志だ。あの手合いが被害届けを出すとも思えないが、不要に悪印象の前例を持たせる事は無い。
 律は既にブルーバード400に乗り込み、ロックして置いていたヘルメットも被り手早くキックする。厚志と奈央も、Vツインマグナに乗り込んだ。
「さよなら」
「またね。今度はゆっくり話そう」
 律と厚志の短く、内容の違う別れの挨拶。律は辺論せず、車を走らせて行った。遅れて、厚志も発進させる。奈央の家へと。

「ねえ、あの女の人、どういう人?」
 車体の速度が安定した折、奈央が訊ねた。ヘッドライトを照らされる道は明るい。
「人に話されるの嫌いだと思うから、詳しくない話だよ。それでもいい?」
「ん。じゃあ人柄とかはいいや。先輩の友達?」
 空気の音が通り過ぎていく。厚志は少々言葉に悩んでいるようだった。
「僕はそう思ってる。最近はまともに会話したことは少ないけどね」
「古馴染み?」
「うん」
「幼馴染み?」
「疎遠になったのが早いから、そう言っていいのかは分からない。嫌われていないとは思うんだけど、僕の思い上がりかもしれない。疎遠になった理由は僕だし、関係回復の努力を怠っちゃったし」
「そう」
 奈央は思いの外厚志の古傷らしい話題に、暫し言葉を噤んだ。開いたのは、三十秒ほど思考してからだった。
「嫌われては無いと思うよ。嫌ってるなら、帽子飛ばすぐらい必死に走って割り込まないと思うし」
「うん…そうだといいんだけどね」
 奈央が思考して選んだ励ましも、言葉ほどに厚志は和らいでいないようだった。

 奈央を送り届けた後、周囲に人気がない場所まで移動して、厚志は傀へ電話した。
「はい、何でしょうか? 主様」
 固有名詞を出さずに呼ばれるのは茶化すのと半々だが、今の状況なら厚志の名前を出さないのも止む無しかも知れない。
「今不味い?」
「いえ全然」
 厚志は短く嘆息した。こういう奴だ。済し崩しに、傀専用の秘密名になってるし。シンプルに蛇でいいだろうに。
「…そう、収穫は?」
「手掛かりぐらいは」
 傀は言い置き、説明を始めた。
「ずばり違法ドラッグの売人ですね、相手は。どうも声を掛けて、一人ずつ集めてる感じです。多分持ち掛けられて買わなかった人もそれなりに居るとは思いますが、相当人を選んでる感じですね。情報を聞けるまで今日まで掛かりました」
 それでも、傀の調査速度は個人でやる分には早い方だろう。よく当たる勘を、結果としても出して証明している。
「ドラッグか。康世さんには連絡してない?」
「はい。信頼してますから」
 厚志も傀も考えは同じだ。鬼哭街きこくがい―歓楽街の地主で且つ岐夙市の裏を治めている康世なら気付いている。信頼しているからこその連絡不通。それに、別々に動く方が相手もやり難いだろう。また逆に、そんな事は天地引っ繰り返ってもありえないとは思うが、関わっていたら連絡するのは最悪だ。刑が軽くならない指名手配が出てから自首するようなものだ。
「聞き出せたのはそこまで?」
「声を掛けてきた人間の人相なども一応聞き出せましたが、声掛け要員はバイトでしょうね。顔を合わさず、告知を残さず人を雇う方法なんて、幾らでもありますし
 万が一、バイトでなくとも、内容が『身長170ぐらい。普通の体系。服装は覚えていないがまともだったと思う。眼鏡は掛けてなかった筈。髪も肩までなかった』では参考になりませんね。殆どの人間が当て嵌まりますよ」
「まあ、そうそう覚えないからね。絵が描ければ、また別なんだろうけど」
「しかし、情報規制は雑ですね。主様には話しませんでしたが、探ってる内に結構噂はありました」
「そうなんだ」
 厚志は聞いた事はなかったが、その辺が人を選んでいると言う由縁なのだろう。
「後ろ盾が無い、と思わせる意味も無いから、そこは素直に額面通りか。ネットとか調べた?」
「やってませんでした。意地になって歩いてばかりで」
「じゃあ僕が調べとくよ。明日の朝までには終わると思う」
「お言葉に甘えさせていただきます。わたしでは朝まで掛かっても兄さんの半分も進まないでしょうし」
 調べるのは、雇う手段の一つにネットを使う方法が有るというのもある。仮にそうなら広告などは当然消されているだろうが運が良ければ名残を見つけることが出来るし、方法がネットでなくともやはり噂は調べられる。問題は目当てとそれ以外の区別であるが、全ての内容を記憶しての吟味ならば、資料を見て考えるよりも早く、より目当ての内容に近くなるだろう。厚志ならそれが出来る。
「収穫は以上です。深夜とかには動いてないみたいなので、今日はもう寝ますが、何か御用はおありですか?」
「用はあるけど、その前に一つ質問。深夜に動いて無いのなら同級生が見た公園の人影は? 君の考えが聞きたい」
「多分兄さんと同じです。特例か、見間違いか、それ以外の何かか」
「うん。同じだった。それじゃあ、用事の方だけど、僕も手伝うよ、見回り」
 厚志は言葉を切らず、協力する強制をした。

 傀は厚志の意外と言えば意外な言葉に驚いていた。厚志は律に遠慮して、あまりこういった事に参加していなかった。
 岐夙市は平和な市である。何もないから平和なわけではなく、公以外の自治組織があるから平和なのだ。例えば康世の組織。この存在は大きいが、完璧ではない。家族との軋轢や、単に反抗期で小非行、稀に大非行に走る人間は存在する。そこまでは、自分達に拘わりがなければ、手が届かない。
 しかし近年その少年達の発散方向が社会への不満ではなく、市の夜限定のボランティア活動的存在になっている。仲間、もしくは一人で行動しているが、決して犯罪行為に走らず、寧ろ善行をこそする、そんな暗黙の了解が広がっている。知らなかった者も同じ状況にある、言わば先輩に教えられている。従わない者にも、相手が暴力でも振るわない限り力で言い聞かせる事はせず、根気良く説く。酔っ払いを介抱することも多い。そんな彼らの行為を知る者は少ない。知っても声を大にして褒めることは出来ないだろうが、治安維持の一翼をになっているのは間違い無い。そんな彼らは自分達をつるむつるまないに拘わらず、LIBERAと名乗っている。自由を吐き違えるなという想いが籠められた名だ。
 その基礎を作ったのが、漣一だった。彼の武勇は多々残っており(曰く市内の喧嘩自慢の不良全てを締めた。曰く市内では唯一の、十人余りの暴走族とのレースに勝ち、暴力に訴えた彼等を素手で叩きのめし、夜が明けるまで説教した。その頃には皆心を改めていたようで、報復行為も無かった。曰く、喧嘩以外で更正させた人間は五百を超える(本当は二百)等々)今でも相談しに来る者は多い。
 リーダー格だった漣一は現在、実質上LIBERAの活動をしていないが、一度広まった思想は容易くは途切れず、今に続いている。そして敢えてリーダーと言うに相応しいのが、自分の姉である律だった。
「それは嬉しいですけど、良いんですか? 両親は」
 傀は驚きで声を止めると言う事をせず、厚志に素直な気持ちと、心配事を伝える。厚志と両親はソリが合っていない。が、傍目には上手く言っているように見える。巧妙に厚志が均衡を保っていて、愚鈍な親がそれに気付いていない状態だからだ。
「ん。家に居られない事もないけど、出ようと思う。予定は早くなったけど」
 傀は厚志の言っているアテを知っていた。厚志が親をどう思っているかも知っていた。だから、その話題は止めた。
「では明日から。方々を捜すよりも、一方面を徹底して捜しましょう。自転車で移動は時間が掛かりますから。わたし個人としては、十七時三十分から、ご足労ですが兄さんに神社まで出向いてもらって合流、十九時に一旦食事休憩。その後零時に解散というのが理想なのですが」
「時間の根拠は?」
「目立つ事を嫌っているようなので、仕事はこなしているはずです。近辺での最速終業時刻が十七時。準備等を考慮すると行動は十八時前後。範囲に関しては鬼哭街を中心としつつも避けながら、半径十六里、というのがわたしの予測です。恐れ知らずに見えますが、相手は康世さんの事を知らないでしょうから」
「了解。その線でいこう」
 承諾した厚志の声に傀は相手が見えていないのをいい事に笑みを浮かべる。
「では今度こそ明日。今日はぐっすり休んでください」
「ん。おやすみ」
「はい」
 傀は主との会話の終了に瞳を閉じ、良き眠りが訪れるよう祈りを捧げた。



 家まで後五百メートル、といったところで厚志は二つのシルエットを眼にした。小柄なものと、長身のものだ。よく見知ったものだとは、ライトが照らす距離になる前に分かった。スピードを緩め、前進を止める。
「お帰り、厚志。先に居なくなってごめんね」
「送り手ご苦労さん。昼の柚夏の遊び相手もな」
 厚志を労う二人は、言うまでもなく柚夏と漣一だった。
「何でユズがまだいるの? いや、居た方が、それは楽しいんだけど」
「えへへ。もう進学が確定しちゃったからさ、こっちで遊べるように、華呉井家に厄介になることにしたんだ」
 嬉しくて堪らない、同時に悪戯が成功した最高の笑みで柚夏は言った。厚志はその柚夏の思惑通り、驚きの苦笑を浮かべるしかなかった。
「それで両親と喧嘩したんだ」
 厚志の昼間の状況になった原因の回答に漣一の方が頷いた。
「うちには幸い客間があって、親父はお前らに甘いから断らない。後は姫の両親だけだったんだが―――このお姫様、見事に家出してきやがった」
「ユズらしい」
「だって、お父さんとお母さん、どれだけ言っても分かってくれないんだもん。それどころか、漣兄さんとあーくんの悪口言うし」
「俺への難癖はまだ笑って流せるが、厚志のはな」
 漣一が、相手がここにいない為怒りや侮蔑ではなく呆れの声で非難する。因みに難癖とは『大学にも調理師学校にも行かず家業の中華屋に就職している』との頭の悪い代物であって、LIBERAの事ではない。いっそその方がまだ同意を得られそうなのだが、LIBERAについては漣一を始め、律も傀も隠しているので家族以外には殆ど知られていない。
「ああ、あの事か。叔母さん達、やっぱりよく思ってなかったんだ」
「うん。分かってたと言えば分かってたけど、はっきり悪口で言われたの初めてだった」
 柚夏の表情は歪み、唇は苦く結ばれていた。厚志は今日は朝もこれで始まり、夜もかと思いながら、気を和らげようと口を開く。
「ユズが気にする事じゃないよ。叔母さん達も、引き止めようと利用出来そうな事全部言っちゃっただけだと思う」
 当然そんな筈は無い。顔にも声にも出さなくとも、間違い無く常々思っている本心だろう。甥の仕出かした、身内の恥だから口外しないだけで。
 柚夏も漣一も分かっている。だから罵詈はここまでだ。
「そんな訳で、入学までこっちに住む事にしたんだ。一応、家には電話したよ。おじさんにたっぷり怒られて、ついでに説得されたみたい」
「流石」
「うん。お陰で、これから毎日厚志の傍にいれる。あ、迷惑か判断してどいたりもするよ。あーくん、嫌でも言わなそうだから」
「五時までなら遊べるよ。ちょっと野暮用があるから、それ以上は無理だけど」
「遊んでいいの? やった」
 キュッと小柄な身体に見合った手で、柚夏はガッツポーズを作る。
「良かったな。さて、報告も終わったし、そろそろ帰ろうぜ。夜は物騒だ。お前の家までは一緒に、我等が姫は、俺が責任持って送り届ける」
 漣一の当たり前の言い回しに、厚志は含み隠された内容を理解した。
「そうだね。でも、後一つだけ」
 厚志はした。親しき彼らには伝えなければならない報告を。
「今日で家出るから。転居先は買ってあるから心配しないで。住所は―――」








 二週間ぶり。一週間で載せられなかった。ちょっとゲームやってた。ネット麻雀も。すまん。
 キャラ紹介

 波瀬谷はぜたにりつ
 性別:女 年齢:17(10/8)・高校二年
 身長:170 体重:54
 3サイズ: 81 59 79
 髪:黒(腰まで届く髪を紐で縛りつけた尻尾頭) 瞳:黒(やや吊り眼)

 この律で主要キャラは出揃った。プロローグではちょっとしか出てないけど、この後は出番多いと思います。
 しかしあれだね。柚夏に酒飲ましちゃダメだな。
 で、後半不穏な雰囲気。てか、引っくり返しまくりすぎ。不良来た→ノックアウト→まだ粘る不良を律がノックアウト→ちょっときな臭くなったところで傀へ電話→きな臭いどころかはっきり犯罪の臭い→厚志家出る→取り敢えず家に帰るところ柚夏と漣一合流→柚夏家出し華呉井家に→厚志転居先買ってた=何 だ こ れ

 今回でプロローグ終了である事を一つの節目として主人公である大蛇耶厚志の考察などを。
 見れば分かると思いますが、厚志は人間的であり、非人間的である人物です。書いている俺でも書くまで、場合によっては書いた後も厚志の考えが分からない。更に書いてみると意外に年頃の人間が考えそうな思考をしている。が、考えだけでなくそれを実現している。故に厚志の行動は、時に俺の考えているストーリーと食い違う事がある。てか、今回のすら家出る予定じゃなかったよ。ストーリーに無理矢理合わせるよりキャラの行動で進ませるべきなので、厚志は非常に難しくもあり簡単でもある。簡単である理由も分からない思考。これは無理だろうと思っていることもやってくれるので(そして一層非人間的になる)その非人間に拍車を掛ける展開を持ってくるのが傀なわけですが。まあ仕方ないか、傀は。人鬼だしさ。

 さて、学校始まっちゃったので更新がガクリと止まります。ごめんなさい。七月ぐらいに一部始まるといいな。






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