それは明らかな衝突音だった。まるで何が起こったか分からないままに、シートベルトをした身体に浮遊感と圧迫感が襲って来る。全身が跳ね、鈍く鋭く殴打される。形が変わってしまった車は火さえ吹き始め、意識も感情も考えられない頭で、漠然と死ぬんだなと思った。


 少年は無音の部屋で目を覚ました。身体を起こそうとした際、左腕に何かが繋がれていて、危うく倒しそうになった。
 上半身だけ起こして周りを見る。白いカーテンで前と、右が仕切られていた。左は壁。
 ここは何処だろう。
 湧いて来た疑問に、はて、自分の部屋はどうだったかと考える。
 ――――
 …ああ、決してこんな部屋ではない。ベッドがあり、本棚があり、机があり、テレビがあり、MDコンボもあり、ゲームもある。それを知っている。麻雀牌があったが、それ以外は比較的普通の部屋の筈だ。知識として持っている。
 名前。そう言えばなんだったか。そうだ、天草翔だ。今不意に出なかった。そもそも自分の名前を考えると言うのはどうなのだろうか。翔の持っている知識では恐らくおかしい。
 左腕に繋がれているのは点滴だろうか。そんな機械だった筈だ。経験した事は無いと確信出来るが――――経験?
 右手で額を押さえた。そもそも、ここまで考えた事を知っているのか。そもそも、知っていると言う表現は何なのか…
 翔は経験した事を考えてみる。不思議な程、無かった。知識はあっても経験の記憶が、無かった。
 翔の伸ばしていた前髪が眼に掛かる。真っ白だと言う事に、然程違和感は感じなかった。黒かった記憶自体が、知識しか持っていないのだから、執着するものでもなかったのだ。精々、一般のこの年齢の日本人とは違うんじゃないかな。そんなレベルだった。
 翔は判然としない頭を振り、一先ずナースコールを押してみた。こうする時どうするべきかまるで分からないので、これは単に勘だった。ここにいる理由も、記憶の不完全さも、医者なら答えられるんじゃないかと言う事を、知識として持っていた。
 やって来た医者は包み隠さず話してくれた。曰く、翔は事故にあったらしい。言われてみればそうだったような気がする。前に座っていた両親は即死。車は炎上していたのだが、後部座席の翔はドアが壊れ、炎上前に運良く外に吐き出されたらしい。
「強いね、君は。まるで動じない」
 医者が沈痛ながら感心した様に呟いた。成程。普通ならば泣くなり何なりするものなのかもしれない。しかし翔の場合、両親に育ててもらった知識はあるが、思い出も知識だけ。経験という記憶で覚えていない。経験を伴わない以上、紙の上の出来事と一緒だった。或いは、それよりも薄い。観ているだけでも過程の感情がある分、小説や漫画やドラマと言った方がよっぽど上だ。
 一日も寝ていなかったから、遺体はまだ残っていた。会ってみても、何の感慨も沸かない。グロテスクで気持ち悪いと思った位だ。事実吐きそうになった。純粋な嫌悪感から。
 霊安室から出る。翔は記憶の方は聞かなかった。経験を伴わない知識だけの判断から、話がややこしくなると思った。記憶喪失ではないのだから、別に困るものでもない。知ってはいる。それで充分だ。知識だけのものを経験しても初めての感動がないのは、既に行っている以上普通なのだから不都合もない。
 退院は明日詳しく検査してからになるそうなので、翔は病室に戻ろうと看護士に付き添われて廊下を歩いていた。
「ショオーっ」
 その後ろから、よく通るが声音は抑えた高い声が自分の名前を呼んだ。
 知っている声だった。目覚めてからは初めてだったが、やはりその経験は予定調和だった。
 振り返る。声の主は白いジャンパーを着ており、早足で向かって来る。知っている女だった。
「よかった、起きたんだな。私が誰か分かるか?」
「神津晶だろ。幼馴染の。こんな時間にどうしたんだ?」
 今はもう午前三時を回っている。病院に泊り込みでもしていない以上ここにいるのは不自然である筈だ。
 晶は比較的端正な顔を不快気に歪めた。
「お前の意識が戻ったって聞いて飛んで来た。というか、私がここにいる理由はそれ以外ないと思うが。ボケたか?」
「この時間に車出させたのか。谷さんを余りこき使ってやるな」
「それは悪かったな」
 これは晶の声ではない。れっきとした男の声だ。酸いも甘いも噛締め、今尚仁義に真っ直ぐな。
「茂治さん…親のあんたまで…」
 知識から予想は付いてはいたが、晶の父親で神川会の親分まで来ていた。
「気にするな。お前は俺にとって晶の友人以上に、息子みたいなものなのだから」
「代打の卵でもあるしな」
「皮肉るな。第一、社員から勝手に勝ち捲ってるのはお前ら二人だろ」
「親父、ノーレートだから問題無いだろ」
 少々物騒な話題に、傍らの看護士さんは冷や汗を流している。気付いた晶はこの会話を打ち切った。
「退院、いつ頃なんだ?」
「怪我が治れば。事件とかの手続きがどうなるかは知らないが、祖父母や親戚が代わりにやってくれるだろ」
「いいのか? お前は」
 晶の不思議顔。下手な気遣いをしない彼女の性格は、知識だけの記憶の翔にも好ましかった。
「興味無い。それより引っ越し云々になったら面倒だから、その時は後見人になってくれるか? 茂治さん」
 茂治は短く許諾した。

 翌日、問題無く翔は退院した。脳で異常でも見付かるかと思っていたが、取り越し苦労だったらしい。原因が益々分からないのは、翔にとってどうでもよかった。
 予想通り、警察は兎も角マスコミが酷くて、高校には行けなかった。
「で、何でお前がここにいるんだ?」
 何処から聞き付けたのか、逃げる様に扉を閉めた知識しかなかった家のリビングのソファに、晶は腰掛け寛いでいた。
「こうなるのが予想付いてたからな。お前一人だと暇だと思って昨日から待機してた。飯位作ってやるから固い事言うな」
「サボっていいのか、学校」
「似たようなものだろ?」
「…そうだな」
 翔も頷いて向かいのソファに座った。特にやる事もないので沈黙が続く。翔からすればナリだけを知っている年頃の綺麗所の女であるだけに、若干気まずく思う。完全に正確な情報を与えられていようが、初対面か、それに近い状態は緊張する。そんな感じを想像すれば分かり易い。
「髪、真っ白だな」
 晶が指しながら呟く。挿した自分の髪は見事な黒で、艶やかなロングだ。
「ショックで色抜けなんて空想の話だけだった筈なんだがな」
 今度は溜息。翔もそうらしい事は医者から聞いていたが、調べてみても何の以上もなかったのでしょうがない。若干色が抜ける程度の事例はあったが真っ白なのは初めてだそうだ。学会関連は丁重に辞退させていただいた。見世物になる気はない。
「なあ」
 翔の思考が終わるのを見計らった様に晶が憂いめいた言葉で小さく話し掛ける。
「ん?」
「何でおじさんとおばさんに関して、そこまで無関心なんだ?」
 引き出しの少ない翔は晶が何を言っているのかは直ぐに分かった。彼女が言っているのは昨日の興味ないと言った発言だろう。
 翔は黙考し、晶に話す事を決め、実行に移した。
「そうか、ならしょうがないだろうな。私は悔しいが、お前をモルモットにされるのも不満だ」
 それを聞いた晶の結論は、翔と似たようなものだった。


 翌日、葬儀が執り行われた。進行も恙無く進み、予定時刻通り終われるだろう。
 翔は体裁の為正座して無意味な時間を過ごしていた。その翔の腕を、繊細な指が掴む。晶だった。
「ちょっと来い」
 翔は一応小さく礼をして、晶に引かれ裏庭に出た。そう言えば今日は喪服である為、晶はスカートだった。学校にも行けていない現在、スカート姿の晶を見るのは、翔は起きてから初めてだった。以前には見ていたので、やはり感想は予定調和ではあったが。
 無人の庭で明は手を離し、振り返る。
「やはり泣けないか?」
 晶が翔に問い掛ける。顔も知らないような親戚にまで気丈やら何やら言われていた。演技でも悲しそうにするべきだっただろうか。
「泣けないな」
「そうか。なら代わりに泣かせろ」
 晶が翔の胸に凭れ掛かって声を潜めて泣く。
 高校生にもなれば親交も切れそうなものだが、晶は未だに天草家に遊びに来ていた。当然、両親とも仲が良かった筈だ。翔は晶の背中を軽く叩いた。

 四日後、やっと落ち着いて学校に行けるようになり、現在の翔にとっての初登校は、予想通りの好奇の視線から始まった。目立つ。この真っ白な髪の色はどう考えても目立つ。いっそ黒に染めようかとすら思ったが、この高校は染髪禁止である。正確には金髪や茶髪が禁止なのだが、それは色を変えるというのがそもそも悪な筈なので、翔は染めなかった。
「よう、有名人」
「その言葉は俺に喧嘩を売っていると判断するぞ」
 片手を上げて挨拶してくる晶。殆どの生徒が遠巻きに眺めているだけで、まともに挨拶されたのは本日初めてだ。
「売られる喧嘩だけありがたいと思え。誰のお陰でマスコミがさっさと片付いたと思ってるんだ」
 モラルのない取材が四日で済んだのは神川会が影で尽力してくれたお陰である。翔は迷いなく答えた。
「茂治さん」
「OK、その喧嘩買った」
 晶の短くもない標準の制服のスカートで如何してここまで鋭い蹴りを出せるのかというハイキックを、翔はバックステップで避わした。しゃがむと脳天に怖い怖い踵落としが来るのだ。幸い、晶の下着は誰にも見えなかった。

 高校も終わり、翔は鞄を持って立ち上がった。
 最初は珍しがっていても、一時間も二時間もすれば親しかった人間は普通に話して来た。成果はそれで充分だ。
「カケル。着替えたらマスターに顔見せに行くぞ」
 晶が指先で摘む様にして言う。
「ああ。歩いていくから車は要らないぞ」
 翔は肯定と共に注意も促した。
 翔は家に帰ると制服を着替え、ジーパンとカラーシャツ。上から薄手の黒いジャンパーを羽織って家を出た。
 通い慣れているが経験としては初めての道を進む。
 二十分ほど駆け足で向かった目当ての店の看板には、雀荘テンハンと書かれていた。
 翔は麻雀が好きで強かった。それは知っている。今ここに来て、気持ちが昂揚しているのが分かった。記憶に欠損が出ても、好きなものは好きらしい。
 軽く拳を握り締め、門を潜る。途端に乾いた心地の良い音。全自動卓に落ちていく牌がぶつかり合う騒がしい音。嫌いな煙草の匂いと、知識と相違ない光景だった。
「よう、カッちゃん。もう身の回りの整理は付いたのかい?」
 体格の良い男―この店のマスター片山誠二が話し掛けて来る。
「ええ、もうすっかり。晶は?」
 翔の質問にマスターは苦笑して指を指す。その先では長い髪が揺れていた。
「一人欠けの卓があったから来るまで先に打ってるってさ。赤ありの卓だから遠慮して欲しかったんだがな」
「そりゃ、周りの人もご愁傷」
 翔の知識が正しければ、今頃悲惨な事になっている筈だった。
 翔は見学をしに、晶の後ろに立った。
「今何局?」
 翔の存在に気付いていた晶は明確に素早く返答する。
「ラス前の親番無し。二着と三千点差のトップ」
「そう。皆さん、見てていいですか?」
 翔の問い。麻雀で見学はやはり許可を取るのが必要である。
「カッちゃんや晶ちゃんなら文句はねえさ」
「ああ、ベラボウに強いがサマはやらねえもんな」
「お二人がいいなら僕もいいですよ」
 三人とも銘々に許可を出してくれた。最初の対面と上家は三十過ぎの会社員二人組で常連で顔見知りだと記憶しているが、下家の大学生風は初対面の筈だ。点数を見ると大学生風が二着だった。腕に自身のある者の雀荘巡りというところだろう。
 翔は晶の籠を見る。知識通りチップが多い。
 晶手牌・四巡目・ドラ7
 四五(赤)⑤⑤(赤)③13678西発発 自摸発
 発を暗刻にして、安全牌を残し素直に行くなら三筒切と言った様相。晶も当然③切だった。それにしてもいい手が入る。
 次巡3、次々巡4と有効牌を引き入れ下の形。
 四五(赤)⑤⑤(赤)334678発発発
 もう間違えても和了れそうな形である。そんな中下家が三索。絶好のポンテン満貫だったが晶はスルー。
 翔なら鳴く。そして鳴いていれば自摸巡がずれ三萬を自摸和了っていた。
 晶は鳴かなかった代わりに自分で切った二枚切れの西と三索を入れ替え、八巡目に最高形の聴牌が入った。
 四五(赤)⑤⑤(赤)34678発発発西 自摸5(赤)
「立直」
 宣言牌を曲げ、千点棒が卓に置かれる。河から待ちを考える者、取り敢えず一発を避ける者と様々であるが、逃げようが避わそうがこの程度の連中の運量なら関係無い。
 一発目の自摸が淵に付けられ、手牌が倒される。
 今のところ倍満のチップ四枚。裏ドラ表示牌が…白。
「六千・一万二千のチップ七枚オール」
「だぁ~。赤三の上裏モロ乗りかよっ」
「大人しいと思ったらこんなとこでぇ~」
 常連二人は頭を抱えながらチップと点棒を払った。一見の大学生風は唖然としている。
 翔は晶の肩にポンと手を置く。
「あんまり苛めるなよ」
「苛めてない」
 晶の反論に、同卓の三人は一様に首をぶんぶんと横に振った。
「終わったらすぐ打つから待ってろよ」
「ああ。誰かさんと違って待ってるよ」
 翔は晶から離れて待合の椅子に腰を下ろした。
 自動ドアが開いて新しい卓待ちの男が入って来た。オレンジのブルゾンの、フリーター風の男だった。
「一見だから、ここの説明聞いていい?」
「はい」
 メンバーの一人が説明に向かう。
「ここはピンの1・3で祝儀有り。二万五千点持ちの三万点返し。チップは五百円で、一発、赤、裏、それぞれに一枚ずつ付きます。役満祝儀は自摸英和関係無しに四枚オール。赤牌は卓によって有無が有ります。また、配給原点ビンタ卓もあり、こちらも赤の有無が選べます。ドボンはありません四人立直は続行、点数は切り上げ式、数え有り、和了止め有り」
「ふ~ん」
 吐息で頷く男。
(こいつ…確か)
 マスターは男に見覚えがあったが、一客として来ている彼に詮索は止めておいた。


 三分ほどで晶は精算も済ませ、翔と店長の傍へ歩いて来た。
「で、復帰祝い麻雀はいいけど、この特別面子に誰が卓を囲んでくれるんだ?」
 マスターは言うまでもなく、晶も、翔も以前通り打てれば相当の打ち手である。
 レート有りでは運転手の谷さんも嫌がった。ノーレートで打ってもいいが格好が付かない。と、軽い声質の声が投げられた。
「何? ワン欠け? いいじゃん、俺打つよ。卓はそっちに合わすからさ」
 さっきのフリーター風の男だった。三人は顔を見合わせたが、一半荘だけなら二度と来ないという事もないかと頷き合った。
 赤無しビンタ無し卓を囲み、場所決めをしながら男は紹介し始めた。
「俺、山下影瑠っていうんだけど。お宅らは」
「神津晶」
「片山誠二」
「天草翔」
 元々自己紹介はする気だったので順繰りに紹介を返した。
「へえ、翔かあ。名前似てんね。その銀髪カッコイイなあ。何処で染めたの?」
「これは単なる色抜けだ」
 場所決めも親決めも決まり、賽を振る段階になった。
 因みに座順は―
  影瑠(東家)
 晶   マスター
   翔
「起親、振らせてもらうぜ」
 サイコロボタンに触ると半球で覆われた中で賽がコロコロ転がり、出た数字は四だった。マスターの前で山が割れる。
 ドラは北。そのそれぞれの配牌。
 影瑠(東家)
 一三八九九④⑤2279北西中
 マスター(南家)
 七八①②③⑥⑥12中中発発
 翔(西家)
 二三四八八③⑤⑨23南西白
 晶(北家)
 一一二二二四五六47北北南
 親の影流意外は好配牌。
 影瑠はまず九索から打ち出した。
 マスターは第一自摸七筒で全帯公と混一色を兼ねる、六筒から落としていく。
 翔は西を自摸り分かり易い最不要牌の九筒を打ち出し、晶も九筒自摸切とした。
 シャンテン一番乗りは意外にも影瑠だった。
 一萬を自摸り打八萬。三巡目に中を重ね筒子を切っていく。役牌を絞る手牌進行を見せ、七巡目には遂にドラまで重ねた。
 一一九九①227中中北北西南
 七索は一枚、西はドラ表示に一枚見えているだけ。一筒は染め屋のマスターにキツイ。南は場に二枚切れ。セオリーでは南打ちだったが、影瑠は西を打った。
 これに翔のポンの声が掛かる。
 五筒を切りこの形。
 二三四八八②③④23 西西西(影瑠からポン)
 四枚残りの1―4の聴牌を入れた。
 そして晶もシャンテンへ
 一一二二二四四五六北北白発 自摸三 打白
 萬子が繋がり形が楽になった。
 二巡遅れ、マスターもシャンテンへ進む。
 ①①②③④⑥⑦⑧中中発発白 自摸⑨ 打白
 同巡晶が萬子を引き入れたが、発は切らずに一萬の対子落としとした。
 十巡目、影瑠が切り出したくない一筒を重ね、七対子を聴牌った。
 一一九九①①227中中北北南
 捨て牌を見るに、二人が萬子筒子に染めていて索子が安い。地獄の南よりも一先ず七索受けの黙聴の場面であるが、影瑠が打ったのは七索だった。
 取り敢えず受けようというのではない。これで押す事を決めていた。
 しかし影瑠の見解は違う。配牌からここまで持ち続けた南。道中で重ならなかっただけで、選択としては最重要牌としていた以上、これで待つのは当然。
 マスターが手を広くする三筒を自摸り一筒切った次の切番、二千点の聴牌を入れている翔が引いたのは、有ろう事か南であった。
 普通ならノータイムで自摸切の牌。知識でも勿論そうである。
 だが、だが。翔は引っ掛かりを覚えた。曖昧な直感で。理屈が優先するような脆弱なレベルの感覚が。
 そんな違和に従い翔は南を手に仕舞い、八萬を打ち出した。
 晶がそれにすかさず喰い付き、ここでマスターに絞っていた発を飛ばす。
 二二二三四四五五北北 六七八(翔からチー) 打発
 マスターも発を叩き、和了易さ優先の両面に受けた。
 ①②③③④⑥⑦⑧中中 発発発(晶からポン) 打⑨
 同巡、ここで翔は呆れさせられる自摸を引いた。入れ替えて八萬。晶の引いた牌は八筒で誰も和了出来ず、影瑠の引いた牌は七筒だった。
 ノータイムで打っていた影瑠だったが、ここでやや小考する。この牌は危険牌だが、役牌も風牌も見えているから打ったとして三千九百だろう。運悪く辺嵌で捕らえられた際に八千になる可能性があるぐらいだ。これを打つのはいい。しかし……
(南、止められたか?)
 まさかと思いつつも、対面の八萬連打はそれを喚起させる。あれをやるのは回すか、単なるヘボかだ。
 影瑠は一呼吸入れ、南を切り出した。
「ロン」
「!」
 二三四②③④234南 西西西
 倒された手牌は紛う事無き南単騎の西三色の二千点。たかが二千点だが、影瑠の驚愕、そして翔が確信するには充分だった。
 感覚はずれていないと。
 理論が先行する際、直感というものは押し留められてしまう。しかし翔は、知識だけ持っていたところに、柔軟な感覚によって直感を受け入れられるようになった。あたかも乾いたスポンジの様に。第六感も理屈も関係無く準じられる。それが、今の翔だった。

 東二局マスターの手牌六巡目 ドラ二萬
 一三八④⑤⑥⑦⑧2478西東
 マスターは一萬を打ち、次巡四萬を引いた所で上三色を捨て八萬。八索を引き東。五萬を引き七索を切ってこの形。
 三四五④⑤⑥⑦⑧2488西
 八索雀頭固定よりも西を打って手広く行くのが良さそうな形であるが、下三色も見て七索切のシャンテンとした。
 この順子の見極めは功を奏した。
 同巡晶自摸七筒でこの形
 二二二七七⑤⑥⑥⑦34568
(切られた後か)
 晶は切られたばかりの間嵌を嫌い八索打ちのシャンテンへ戻した。
 次巡、マスターが間三索を引き入れ聴牌。手代わりもあったが三面張即リーに出た。
 その時翔の手はまだ三シャンテンで全く追いついていない。
 二四⑤⑥⑨⑨1236発中北
 この形に四索を自摸。シャンテンは上がったが追いつけそうにない。
 翔はここで生牌の北を切った。
「ポン」
 風を影流が鳴き、切牌は度無筋五筒。
 参考までに影流の捨て牌は
 八西93南発一三南⑤
 匂いは消す様努力しているが、筒子の混一色が濃厚な捨て牌。しかしこの局は翔が七筒を引き入れ中を切った後、晶が九筒をマスターに打ち込み二千九百で終局した。
 影流の手牌最終形。
 ②②②③③⑦⑦白白白 北北北(翔からポン)
(東発で展開が翔に味方しちゃった感じだねぇ~)
 和了目の無かった手格好。二千六百オール自摸られなかっただけ良しとするしかない。

 東二局一本場 ドラ五筒
「ポン!」
 影流はマスターの第一打から鳴いた。
 一二七八③⑦45西白 九九九(マスターからポン)
(取り敢えず有り得ない動きで展開を崩さないとね)
 だが、この鳴きで晶の手が育ってしまう。
 五巡目でこう。
 四五六④④⑤⑤⑥⑥335白
 ここに自摸三索。白を捨て聴牌に取る。立直は無いが出れば喜んで和了る。
「ポン」
 マスターも白を鳴き、②―⑤の聴牌を入れた。
 翔 三四五六七八⑤⑤35678 自摸5 打3
 二巡影流は降り、三人は字牌の自摸切が続いた。
 八巡目。晶が三色手代わりの最高の六索を引き入れて立直を掛けた。
 和了れる。そんな感触を胸に、一発目の自摸を晶は捲った。
「自摸」
 その声に影流はほくそえむ。自摸ならOK。が、点数には顔色を変えた。
「四千・八千の一本場チップ一枚オール」
 一発自摸で三色ならずとも倍満となった。

 晶に倍満自摸られた後の翔の親番。簡単に手放せば押し切られるだろう。晶には勿論、対面の影流にも。
 連荘必須の、その配牌 ドラ四
 四五七⑥⑦⑧244899東西
 翔はまず九索から切り出した。二巡に六萬を引き入れ三巡目に間三索を鳴き、四巡目には八索を重ねた。
 四五六七⑥⑦⑧488 243(マスターからチー)
 五巡目には三萬を引き入れて二―五―八の三面張聴牌。
 この局は誰も追いつけず、次巡、翔は二段目に入る前に二萬を自摸り千オール。
 晶の顔が歪む。彼女にしてもさせたくない連荘だった。
 連荘と、阻止の三人の配牌。
 東三局 二本場 ドラ1
 翔配牌
 三四八九①④⑨158南北発中
 晶配牌
 一二三四六六九③1西白中
 影流配牌
 ①⑤⑨⑨22556899
 マスター配牌
 五①④⑥4447西北白東
 全員が全員遅い形。勝負は終盤まで縺れこみそうだった。
 予想以上に重苦しい中獏打が繰り返される。八巡九巡と過ぎても誰も動かず、聴牌気配もない。
 そして十四巡目。
「立直」
 遂に親の翔の立直が飛んだ。三者、動きたくとも動けない。
 手も追い付けていない。しかし翔自身も自摸れないままラス自摸へ。
 それはあっさりと河の外に置かれた。
 三三四四五五④⑤56788 自摸⑥ 裏7
「六千オールの一本場チップ一枚」
 あの配牌が六千オールへと化けた。
 この時点で晶を逆転してトップに立った。
「かっ。皆さん随分お強い」
 影流は本心から賞賛する。
「こりゃ逆転するのはキツそうだ」
 三万点以上離された現状でも、彼の言葉は真実味を帯びていた。

 東三局二本場 ドラ6
 影流七巡目
 一二二三四四四五五五六七八
 渾身の勝負手のニ・三聴牌。無論、出されないだろうが、幾らでも待ちはよくなるし、恐らく自摸れる感触を持っていた。
 しかし、翔も安いながら追いついていた。
 三三②③④⑤⑥⑥⑦⑦⑧55678
 が、ここに自摸ったのが高め変化の四萬。
 影流捨て牌
 ③①発西⑦38
(混一色…いや、清一色か)
 街の行け行け麻雀なら三萬。降りるならそれ以外。
 翔は静かに牌を並べた。今引いた四萬を。これは勘ではない。清一色相手に二枚使いの三萬は切りにくく、萬子待ちも最低だ。更にこの手の最高形は4か6、或るいは7を引き入れてのドラ受けもある3―6―9か4―7の索子待ちである。打四萬は当然の一打。
 翔がすり抜けた中、影流が引いたのは七索。八索も切っている彼には考えようも無く自摸切である牌だが。
「くっ」
 影流はニ萬を切りその単騎に切り替えた。
 そして翔も、三面張になる四索を引き入れた。
 当たり前に立直が飛ぶ。麻雀は特殊な状況を除き、自摸和了る気があるのなら立直を掛けるものなのだ。出和了りはおまけ。期待はしない。
 同巡影流が引いたのが表示牌の五索だった。
「立直」
 清一色崩しての間六索追っかけ立直。
 一見無謀。しかし影流にとって、待ちは悪くとも止められた牌で待つより作り直した方が和了れる確立はずっと高く感じていた。
「自摸!」
 一発目で声を上げたのは影流だった。
「や~っと和了れたねえ、全く」
 裏ドラに手を伸ばす。一枚乗れば跳満であったが、残念ながら乗ってなかった。
「二千・四千の二本場チップ一枚オール」
 影流に点棒を払いつつ、遅まきながら晶も気付いた。
 二三四四四五五五六七八57 自摸6
 影流が並ではない事に。勘も見極めも、そして、晶が二枚使いの間嵌を自摸った引き強も。
 マスター 四六八九九①③③④4789
(東ラスで一万二千七百)
 随分追い込まれたものだ。挙句、この局は手がまるで間に合っていない。全く、今がまだ上り調子の奴等は羨ましい。だが羨んでばかりもいられない。仮にもテンハンのマスター。このままで終わっていいわけがなかった。
 東四局(親晶) ドラ五
 晶 配牌
 三五六八①②⑤478北中発白
 晶は一筒から切り出した。役牌を簡単に鳴かせばあっさりと流されてしまう。
 影流
 一一二七②⑥⑨1478北北白
(満貫和了ったのにこれかよ)
 愚痴を言っても仕方が無い。影流は二筒から並べていった。
 マスター
 一一四五七八九⑧⑨1299発
 純帯公が狙える配牌。ドラを使う形も考え、第一打から役牌の発とした。
 翔
 五九③⑤⑤⑤⑦34468中発
 一番の余剰牌、打九萬とした。
 次巡晶は発を合わせ、影流は白を切る。マスターも三索を引き入れシャンテン、ドラターツ落とし。翔も七萬を引き発を合わせる。
 序盤に役牌が二枚出る展開は晶を随分楽にした。
 マスターの手がシャンテンで硬直する中晶の手は順調に進んでいく。六索を引きまず一面子。八萬切り。二巡不要牌自摸(マスターの自摸切った中に合わせたぐらい)の後四筒を引き、取り敢えずの面子は足りる形となった。
 三五五六②②⑤⑦4678北
 翔も早い進行を見せる
 三索を引き八索。六筒を引き六索。七萬は自摸切。六萬を引いて三筒を切った。
 五六七⑤⑤⑤⑥⑦3344中
 いい形。ポンテンも出来る。
 七巡目、二巡目シャンテンのマスターに漸くマスターに聴牌が入った。
 一一三七八九⑧⑨12399 自摸⑦
 三萬を切り黙聴で三色手変わり待ち。
 立直が飛んだのは九巡目、影流だった。
 翔も立直宣言牌の四索に反応し、ポンテンを入れる。
 十巡目、マスターが自摸ったのは二萬。間嵌に受けていれば満貫自摸だった二萬。手変わりを待つのが最善ではあった。しかし結果立直を躱わせず、和了を逃したこの手牌。マスターは二人に現物の七萬として、降りた。
「チー」
 晶は翔の自摸切った彼女から見て五枚目の四萬を鳴き、晒した四―七でチーテンを入れた。
 これで三人が聴牌。
 引き合いの振り合いの三つ巴の形で、十三巡目。
「自摸」
 自摸勝負に勝ったのは影流。倒した手牌は二萬単騎の七対子。それもマスターの喉から手が出るほど欲しかった七索と八索を使った。
「また裏無えや。千六百・三千二百」
 裏ドラを残念そうに置いて、点棒を受け取り、洗牌し卓に落としていく。
「やっと背中に手が届いたかな」
 己に向けられた台詞に翔は薄く笑った。
「安心しな。また直ぐに引き離してやるよ」
 影流も軽薄な表情を潜め翔を見据える。
「心配すんな。この親番で、並ぶ間も無く抜く予定だからさ」

「自摸!」
 南一局、八巡で影流の手牌は倒された。
 一二三③④⑤⑥⑦123南南 自摸⑧
 立直自摸。裏ドラが―――
「今度は乗ったな。二千オールのチップ一枚」
 これで影流はトップ翔まで千六百差。ノミ手自摸で逆転される点差だ。
 しかし翔は姿勢を崩さない。
「並ぶ間もないんじゃなかったのか?」
「焦るなよ。俺の脚は動き続けてるぜ」
 もうフリーのマナー違反バリバリの会話である。
 晶は少々呆れた。会話にでなく、格の違いに。
 正直自分は翔といい勝負出来ていると思っていたのだ。だが、翔と本当に同格の人間が囲めば、自分の麻雀の運で無い、単なる強運では話にならない事が分かる。点数はまだ射程圏内なのに、差はそれ以上に感じられた。
「ったく、人を無視して盛り上がりやがって」
 だからこれは、悔しいよりも嫉妬だろうなと思う。
 彼女は積まれた牌から配牌をいい牌が来るよう念じ取っていく。思い知りつつも勿論、最後まで諦めるつもりは毛頭なかった。
 南一局一本場 ドラ二
 影流 配牌
 四六八②③⑤11459西東南
 マスター
 三四⑦3345577西白白
 翔
 三三五六九九⑤⑥⑥⑦⑧⑧西
 晶
 一二四七八③③④246中中
 二人の発言の成否を決めるこの局。
 影流は無難に九索から切り出した。このチャンス手を決めなければ行けないマスターは七索を自摸り七筒打ちの混一色狙い。翔は北自摸で自風の西。晶はドラ自摸で間五索を嫌っていった。
 晶はその後三筒の自摸で中切り。五萬が入ってもう一枚。六萬が入った所で索子落としを決行した。次巡五筒を手に加える。
 一二二四五六七八③③③④⑤
 一通も見えてきた。
 マスターの手も伸びる。
 33455567778白白
 2―5、3―6―9、4―7、白のシャンテン。白を落として清一色もある。
 影流も八萬自摸から一索を落とし、残した⑤筒にもくっ付いた。
 四六八八①②③⑤⑥456南
 最後に、翔はドラ連続引きで五、六落とし。一を引いて五筒。六筒を暗刻にし北切とした。
 一二二三三九九⑥⑥⑥⑦⑧⑧
 翔はここから十巡目に安め八筒を引いて聴牌、即リーに出た。四暗刻変化を考えれば黙聴牌。しかし現状の方上がりの温さを嫌ったのだった。
 同巡、直後の自摸で聴牌を入れたのは晶だった。ラス三萬を引き高め一通の三面張。勝負牌はドラだがノータイムだった。
 影流は一発目に引いた生牌の白を強打した。降りる気は毛頭無い。
 マスターも、鳴く事は無かった。この局面で千三百・二千六百は和了れない。
 堪えた事が上向きに向かった。白を引き込む。
 33455567778白白白
 マスターも三索切の立直と出た。
 翔の一発目の自摸牌は、九萬だった。四暗刻聴牌を逃す。
 が、変化後の和了牌は既に二枚切れ、残りも晶の手の中にがっちり組み込まれていた。聴牌れば取らない訳は無いから、この手は殺されていたのだ。
 晶も自摸れないまま影流の自摸。四筒だった。
 影流は聴牌に取ったが、立直はしなかった。
 誰も自摸れないまま十四巡目。影流は三枚目の八萬を自摸り、自摸切り。
 十五巡目の自摸が六萬。当たると分かっていても影流は押した。
「ロン」
 晶が手牌を倒す。ちゃっかり裏ドラが乗って、三十府四翻は切り上げで満貫。この時点で晶は二位に浮上した。
「三位に落っこちちまったな」
 言葉ほど悲観していない。翔に和了られないのならOKだった。

 しかし南二局に翔があっさりと満貫をものにして、差は一万八千九百と開いた。この局影流は鳴き清一色対々の跳満聴牌から当たり牌を引いてあっさり降りた。

 迎えた南三局影流の配牌。 ドラ白
 三三五六六①①⑦⑦1白白発
(入っちゃったね。犠打に我慢を重ねて)
 電光石火の四巡目。
 影流の手牌脇に、白い牌が叩きつけられた。
 それは勿論七対子ではなく―――
「八千・一万六千のチップ六枚オール」
 役満、四暗刻だった。
 晶が流石に唖然とする中、翔とマスターは平然と払った
「ドボンは無しの続行だったな。晶、早く払って続きをやろう」
 翔に三位まで落ちた上、二万九千百の差を付けられた動揺は微塵も無かった。
 オーラス条件は晶は倍自摸、跳直。影流は何でも和了れば。マスターは役直、ダブル役満。翔は倍直、三倍満自摸が条件のオーラスは、静かに始められた。
 南四局 ドラ①
 晶
 五六八①①122357899
 影流
 二三三③⑤⑦⑨123北南白
 マスター
 一四七八九④⑤9白発発中西
 二人の手牌に影流は興味が無かった。彼がマークしているのは、どれだけ条件が厳しかろうと、最後に必ず逆転手を入れる自分と同類の翔だった。
 役満等警戒せず字牌殻切っていく。自分で決めようと。
 翔捨て牌
 3④6
 萬子以外の中張牌バラ切。翔も二着取り等考えてはなさそうだ。
 影流も七筒を重ね、四萬を引き、四筒まで引いてシャンテンとなった。
 鳴けない形ではあるが、充分決められる。
 翔捨て牌
 3④6⑤7発
(ここまで全部手出しか。人の事は言えないが、凄い引きだね)
 しかし三人の諦めない執念がそうさせるのか影流の手の伸びはぴたり止まった。
 その内に晶が手を伸ばす。次から次へと索子を引き入れ、纏め、ドラまで払っていく。
 1122233557899
 唯一、マスターの手が遅々と進まない。
 一三四七八九⑨9発発白中西
 ここに索子を引いて、発を一枚切った。勝負を左右しないよう、出来る限り降りる決意だった。
 十巡目、影流は四索を引いた。
 二三三四③④④⑤⑦⑦123 自摸4
 翔捨て牌
 3④6⑤7発⑨南北五
 翔の捨て牌は萬子の清一色濃厚だが、国士の線も捨てきれない。索子の清一色もいる。影流は四筒とした。
 十一巡目だった。
 翔の河に最後の発が置かれ、曲げられた。
 これで国士が消え、翔の手が萬子の一色手である事粗確定。
 影流は三萬を自摸り、愚形ではあるが聴牌を取り一索を切った。
 晶がポンテンをする、その前に。
「ロン」
 翔の手が、倒された。
 一一九九①①南南北北白白1
 立直一発混老七対ドラドラ。裏も乗っており、チップが二枚余分に付いた。
「…直撃限定立直」
 しかも一発か裏が必要。まず打たない立直。
「あんたが和了って決める気だったからな。賭けさせてもらった」
 受け渡される点棒。トップが最後に又引っ繰り返る。
「乗ってると思ってたのかい?」
 翔は影流の言葉に喉で笑った。
「乗ってると思わなきゃ打たねえよ、こんな立直」
「そりゃそうだ」
 影流も肩を竦める。そういう域で勝ち残れない。
「調整のつもりだったんだけど、これ以上打つと精神が参りそうなんで、抜けるわ。今度は戦場で会おうぜ銀の狼さん」
 ヒラヒラと手を振り、影流はテンハンを去った。

「ん? どした?」
 影流が出て行く足音を耳に聞きつつ、晶が肩を震わせ笑っているのに翔は疑問を持った。
「いや、だってな。乗るって分かってたって。ホントふざけたレベルで打ってるなって」
 ああ、確かにそうなのかもしれない。直感がバシバシ当たるし、どんなに不調でもオーラスには必ず逆転手が来る。これは異常といえば異常だろう。
 強い麻雀打ちの能力は手順と読み、そして運である。前二つはどうにかなっても、最後の一つは選ばれた一握りしか持ち得ない。更にそこに勘まで加えると、一握りの中から更に一握りになる。
「まあ、麻雀は好きだからな」
 そんな才覚があるかは知らないが、今日の麻雀で一層好きになった気がした。経験の記憶がなくとも変わらない。麻雀の熱さだった。






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